先日、和歌山県立みはま支援学校で開催された「実践交流会~重度重複障害児の教育について~」にて、講演をさせていただきました。
当日は、約30名の教職員の皆さまにご参加いただき、貴重な学びと意見交換の時間をご一緒させていただきました。
今回の研修では、三重大学の菊池教授による講演と、私のアロマケアについての講演、そしてディスカッションとワークショップが行われました。
「感覚」をどう捉え、学びにつなげていくのか
最初に行われた三重大学・菊池教授の講演は、
「重度・重複障害児の感覚受容を捉え繋ぐにつなぐ」というテーマでした。
聴覚、触覚、嗅覚など、五感に対する子どもたちのさまざまな反応について、実際の反応を捉えたデータをグラフなどでご紹介いただきながら、一つの反応を「こういう意味」と決めつけるのではなく、まずは一つの仮説として捉え、そこから次の関わりや学びにつなげていくという、現場での大切な視点についてお話しされました。
子どもたちの小さな反応を丁寧に捉え、
「これは何を感じているのだろう?」
「この反応には、どんな意味があるのだろう?」
と考えながら、一人ひとりの反応を手がかりに、次の学びや関わりにつなげていく。
そのお話を伺い、私自身も、香りについても「この香りにはこういう作用があるから」と一方的に考えるのではなく、その人がどのように感じ、どのような反応を示しているのかを大切にしながら活用することが重要なのだと、改めて感じました。
この「一人ひとりの反応を捉え、そこから考える」という視点が、その後の私の講演やディスカッションにもつながる、大切な学びとなりました。
医療・介護現場から考えるアロマケアの可能性

続いて、私からは、
「医療・介護現場から考えるアロマケアの可能性」をテーマにお話しさせていただきました。
これまで私たちが医療・介護の現場で行ってきたアロマケアの事例をご紹介しながら、
「心地よい環境づくりと、人に寄り添うケアを、教育・福祉の現場でも活かすことができないか」
という視点で、皆さまと一緒に考えていきました。
今回、特に大切にしたのは、
「アロマにはどんな効果があるのか?」から考えるのではなく、
「今、現場にはどんな課題があるのか?」
そして、
「その課題に対して、香りを一つの選択肢として活用できないだろうか?」という考え方です。
ディスカッションから見えてきたこと
ディスカッションでは、先生方からさまざまな意見が出され、とても活発な意見交換となりました。


例えば、
- 職員のストレスは、他の職員にも伝わっていく
- 季節を感じられる体験を取り入れたい
- 保健室で疲れた子どもたちが過ごす環境を考えたい
- 職員自身が癒される環境をつくりたい
など。
どれも、「アロマを取り入れたい」というところから始まった意見ではありません。
「今、現場で感じていること」から考え、その解決や環境づくりの一つとして、香りを活用できないか。
という視点で出てきたアイデアでした。
これは、今回の講演で私がお伝えしたかったことの一つでもあります。
支援する人自身の「心のゆとり」も大切に
そして、もう一つお伝えしたのが、支援される側だけではなく、支援する側のケアも大切だということ。
生徒の皆さんやご利用者だけではなく、ご家族、教職員、医療・介護スタッフなど、支える側にも心地よく過ごせる時間が必要です。
支援する側に心のゆとりがなくなってしまえば、提供する教育やサービスの質にも影響していきます。
だからこそ、「自分自身を整えることも、誰かを支えることにつながる」という視点を持つことが大切なのではないかと思います。
最後は、香りを選ぶワークショップ
講演の最後には、職員の皆さまご自身のセルフケアとして、フレグランスミストづくりを体験していただきました。
いくつかの精油の香りを実際に嗅ぎながら、
「この香りが好き」
「こっちもいいね」
「これは少し苦手かも」
など、皆さんで会話をしながら、それぞれ好きな香りを選んでいただきました。
香りを選ぶ時間には自然と会話が弾み、あちらこちらで笑顔が見られました。
完成したフレグランスミストを手に、皆さんが楽しそうにされている様子を見て、私自身もとても嬉しくなりました。
香りは「癒し」だけではない
今回の研修を終えて、改めて感じたことがあります。
植物の香りは、もちろんリラックスや気分転換など、私たち自身の心地よさのために活用することができます。
でも、それだけではありません。
「どの香りが好き?」という一言から会話が生まれる。
一緒に香りを選ぶことで、人とのコミュニケーションが生まれる。
季節の香りを感じることで、自然や季節に目を向けるきっかけになる。
そして、香りを楽しむ時間そのものが、笑顔の生まれる環境づくりにつながることもあります。
今回のワークショップで、皆さんの会話が弾み、笑顔が増えていく様子を見ながら、
香りは「癒し」のためだけではなく、人と人との間に新しい時間やコミュニケーションを生み出す一つのツールにもなり得ると改めて感じました。
「アロマを導入する」ことが目的ではなく
研修を通して、私自身もたくさんの気づきをいただきました。
アロマケアを取り入れることそのものが目的なのではありません。
大切なのは、
「今、この現場にはどんな課題があるのか」
「その人にとって、どんな時間が必要なのか」
「そのために、香りという選択肢を使うことができるのか」を考えること。
香りはあくまでも、そのための一つの選択肢です。
今回、先生方と一緒に考え、さまざまなアイデアを聞かせていただいたことで、アロマテラピーが教育・福祉の現場で持つ可能性を、私自身も改めて考える機会となりました。
貴重な機会をいただきましたこと、そしてご参加くださった先生方に、心より感謝申し上げます。
植物の香りが、誰かにとっての「心地よい時間」の小さなきっかけになる。
そんな可能性を、これからもさまざまな現場へ届けていきたいと思います。
Natural Life Storyでは、医療・介護施設、企業、学校・教育現場など、それぞれの現場に合わせたアロマテラピーの研修・講演・ワークショップを行っています。
「アロマを取り入れてみたいけれど、何から始めればいいのかわからない」
「職員のセルフケアに香りを活用したい」
「教育・福祉の現場で、香りを使った活動を考えてみたい」
など、お気軽にご相談ください。

